オーラルフレイルの予防

オーラルフレイルの予防について

一般歯科

 

毎日の歯磨きと定期的な歯科受診
 毎日の歯磨きは、正しいブラッシングで、むし歯(う蝕)や歯周病などを予防し、健康な歯を維持することに繋がります。むし歯や歯周病の原因となるプラークは、食べ物の残りかカスが歯の表面に付着して細菌が繁殖したもので、白くねばねばしているのが特徴です。したがって、うがいだけで取り除くことはできません。歯ブラシを優しい力で細かく動かして、口の中を清潔に保ちましょう。また、歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを全て取り除くことはできません。歯間ブラシや糸ようじ、デンタルフロスなどを併用して、歯と歯の間の汚れも磨き残しのないように注意しましょう。また、歯磨きの後や、歯間ブラシなどを使った後は、しっかりとブクブクうがいをして、口の中に汚れを残さないようにしましょう。うがいの際には、唇をしっかりと閉じて、口全体に水が行き渡るように口を動かしましょう。さらに、定期的に歯科医院で健診を受けることで、毎日の歯磨きが正しく行えているか、むし歯や歯周病のリスクがないかチェックしてもらいましょう。


口腔機能の維持・向上を目的としたトレーニング

小児歯科

 

特に食べることや、会話の際に重要な役割を果たしている、唇や舌、頬などを動かすトレーニングをいくつかご紹介します。
 ①肩と首のストレッチ
 食べる前の準備運動として、首回りの筋肉の緊張をほぐしたり、鍛えたりするのが目的です。息を吸いながら肩をあげて、息を吐きながら肩を下げます。これらの動きをゆっくりと3 回繰り返しましょう。
 ゆっくりと右へ首を倒して、左側の首筋を伸ばします。ゆっくりと元の位置に戻したら、今度は反対に左へ首を倒して、右側の首筋を伸ばします。これらの動きをゆっくりと3 回繰り返しましょう。


頬のトレーニング

インプラント

 

口周りや頬の筋力アップを目的とした体操です。頬をふくらませます。舌を上あごに押し付けて、唇をしっかりと閉めて、口から息が漏れないようにしましょう。次に、息を吸うように口をすぼめます。これらの動きを3 回繰り返しましょう。


舌のトレーニング

予防歯科

 

舌の筋力アップを目的とした体操です。口を大きく開けて、舌をできるだけ前に出します(図7)。無理のない範囲で、しっかりと力を込めて舌を動かしましょう。続いて、舌を上に向けて上唇を舌先で触ります。最後に、左右の口角を舌先で触ります。これらの動きを3 回繰り返しましょう。


唾液腺マッサージ

矯正歯科

 

口の中にある3 種類の大きな唾液腺をマッサージで刺激をして、唾液の分泌を促すことを目的とした体操です。唾液は口の中を潤し、食べ物を飲み込むための助けとなる多くの機能を有しています。
各箇所、1 回につき5 秒程度を目安にやさしくマッサージしましょう。3 回ずつ繰り返します。まずは、耳下腺のマッサージです。耳の少し前くらいの位置を指(人差し指~薬指全体)でやさしく、奥から手前に向かって円を描くようにマッサージします。続いて、顎下腺のマッサージです。下の顎の骨の内側(首に近いところ)を指(人差し指~薬指の指先)でやさしく、耳の方から顎先に向かって、軽く押してマッサージします。最後に、舌下腺のマッサージです。顎先の少し内側(舌の付け根のあたり)を親指でやさしく、舌を押し上げるようにマッサージします。


まとめ

審美歯科

 

バランスの良い食生活をしている方は、偏った食生活をしている方と比べて、フレイルに該当する割合が低いことが分かっています。つまり、フレイル予防には、なるべく多くの種類の食品を選び、バランスの良い食生活を送ることが重要です。
 固いものが食べにくくなったな、お茶などでむせることが増えたな、おしゃべりをしていて聞き返されることが増えたな、などの口に関する"ささいな衰え"を放置せずに、いつまでもおいしく、楽しく、様々な種類の食品を食べるために、より早期からオーラルフレイル対策に取り組みましょう。

参考文献

Motokawa, K.; Mikami, Y.; Shirobe, M.; Edahiro, A.; Ohara, Y.; Iwasaki, M.; Watanabe, Y.; Kawai, H.; Kera, T.; Obuchi, S.; Fujiwara, Y.; Ihara, K.; Hirano, H. Relationship between Chewing Ability and Nutritional Status in Japanese Older Adults: A Cross-Sectional Study. Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 1216.
Matsubara C, Shirobe M, Furuya J, Watanabe Y, Motokawa K, Edahiro A, Ohara Y, Awata S, Kim H, Fujiwara Y, Obuchi S, Hirano H, Minakuchi S. Effect of oral health intervention on cognitive decline in community-dwelling older adults: A randomized controlled trial. Arch Gerontol Geriatr. 2021 Jan-Feb;92:104267. doi: 10.1016/j.archger.2020.104267. Epub 2020 Sep 28. PMID: 33035763.
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Shirobe M, Watanabe Y, Tanaka T, Hirano H, Kikutani T, Nakajo K, Sato T, Furuya J, Minakuchi S, Iijima K. Effect of an Oral Frailty Measures Program on Community-Dwelling Elderly People: A Cluster-Randomized Controlled Trial. Gerontology. 2022;68(4):377-386. doi: 10.1159/000516968. Epub 2021 Jul 9. PMID: 34247160; PMCID: PMC9153353.
Tanaka T, Hirano H, Ohara Y, Nishimoto M, Iijima K. Oral Frailty Index-8 in the risk assessment of new-onset oral frailty and functional disability among community-dwelling older adults. Arch Gerontol Geriatr. 2021 May-Jun;94:104340. doi: 10.1016/j.archger.2021.104340. Epub 2021 Jan 19. Erratum in: Arch Gerontol Geriatr. 2021 Sep-Oct;96:104466. PMID: 33529863.